東京都千代田区に位置する東京ガーデンテラス紀尾井町は、2011年3 月に営業を終了したグランドプリンスホテル赤坂跡地の再開発プロジェクトによって、地域の持続可能な発展を目指しながら紀尾井町のもつ歴史的環境や自然環境と調和した国際色豊かな複合市街地として2016 年に誕生しました。オフィス・ホテル・商業施設等を備える「紀尾井タワー」、賃貸住宅を有する「紀尾井レジデンス」、東京都の指定有形文化財である旧李王家東京邸(グランドプリンスホテル赤坂旧館)を保存・復原しつつ新たな機能を備えた「赤坂プリンス クラシックハウス」によって構成されています。
 敷地全体の緑化率は約45%を確保し、弊社が調査・環境計画を行っている創出型ビオトープである「光の森」は面積0.23 ha であり、皇居などの都心の貴重な緑地をつなぎ、エコロジカル・ネットワーク(生態回廊)の形成に貢献する街づくりを進めています。
 光の森の整備前に弊社が実施した周辺地域の環境調査では、清水谷公園や弁慶濠といった水辺との繋がり等により、トンボ類やチョウ類などの生きものの生息も確認され、都心の貴重な水辺の生態回廊を形成することが期待されました。また、東京都心や皇居周辺地域でも在来の個体としてヘイケボタルが生息していることが確認されていました。環境計画ではこれらの環境特性を踏まえて光の森の目標種を設定し、それらが生息可能な環境を計画することにより、この地域に固有の生態系を継承しようと取り組みました。
 2016年の光の森の竣工後、継続的に植物や鳥類、昆虫類、水質調査を実施しており、2021年度には、植物は、73 科148 種(外来植物16 種)、鳥類は、繁殖期7 種、越冬期11 種、昆虫類は、春季4 目13 科23 種、夏季8 目14 科22 種(外来昆虫2 )が確認されています。都市部では珍しいヤマガラや鳥のシロハラが流れで水浴びをしている光景が観察できます。
 協働の取り組みとしては、CSR 活動の支援の一環として、月に1 回、紀尾井タワーの入居テナントと共にビオトープの清掃・コンポストの天地返しなどを実施し、コンポストで作成した堆肥を麹町中学校の屋上菜園にて再利用する支援しています。また、近隣の麹町中学校の理科サークルにヘイケボタルの餌となるカワニナの飼育を依頼し、環境・生物多様性に関心を持っていただく活動支援を行っています。
 これまでの調査、計画、CSR 活動支援等の取り組みを通じた結果、東京ガーデンテラス紀尾井町が2016年にSEGES(シージェス・社会環境貢献緑地評価システム)の「都市のオアシス」に認定され、2023年には光の森が自然共生サイトの認定サイトとなり、企業緑地の価値の向上に貢献することができました。
東京ガーデンテラス紀尾井町 光の森の画像
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