「生物多様性おやま戦略」は、コウノトリの野生復帰を行い「田園環境都市」を目指す小山市において自然と人の暮らし、経済が調和した小山市の河川・農地・平地林などの現況を把握し、次世代に継承するための施策・取組が定められた生物多様性基本法に基づく計画です。
 弊社では、小山市の生きものの生息・生育状況を把握するために、2021~2022 年度に動植物調査を実施し、これらの結果を反映した戦略を作成しました。戦略は、2024 年2 月に公表されました。
 調査期間中は、小山市のまちづくり進行形ウェブマガジン「おやまアサッテ広場」において生物多様性調査レポートを調査実施とあわせてタイムリーに8回掲載することや、「おやまの環境・いきもの・植物を守る」ワークショップへの参加を通じて、生物多様性地域戦略の策定と同時並行に市民への生物多様性に関する普及開発、関心を高める取組みを行いました。
 調査は、植物、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類、昆虫類、底生動物を対象として、文献調査と市内の代表的な地点での現地調査を実施しました。また、対象地は、市内を流れる河川等の水辺や草地、河岸段丘林や屋敷林等の樹林、市街地の神社や公園等としました。
 調査の結果、文献調査では、2,000 種を超える動植物が確認されました。また、現地調査では、旧思川、思川上流、鬼怒川等で川辺や湿地、草地に生育する動植物が確認されました。思川中流樹林、小山思いの森、東島田ふるさとの森、屋敷林、城山公園では、コナラやクヌギを中心とした落葉樹林、スギ・ヒノキ・サワラ等の植林、モウソウチク林等の樹林に生育する動植物が確認されました。
 希少な動植物としては、カワラニガナ、コイヌガラシ、キンラン、マヤラン、ヒガシニホントカゲ、ヤマカガシ等が確認されました。
 現地調査の結果から、当戦略では、本市の代表的な生態系である河川や湿地、農地、樹林地、都市公園等の特徴から、平地林の保全、外来種対策、環境にやさしい農業等の5 つのリーディング・プロジェクトをはじめ、3 つの方針、23 の施策を、市民、市民団体、企業など様々な主体の連携・協働により進め、小山ならではの生態系ネットワークの構築を目指すこととしました。
 今回の改定は、都市計画マスタープラン、緑の基本計画等の各種計画と同時並行に計画検討を進め、都市政策と整合を取りながら策定されたことも特徴です。
 2024 年度からはリーディング・プロジェクトのうち平地林の保全が協議会を通じて検討されることとなり、当戦略が実効性を持って始動しています。
生物多様性おやま戦略及び市域の動植物調査の画像
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