本設計は、茨城県つくば市に位置する戸田建設筑波技術研究所内の創出型のビオトープ「つくば再生の里」の設計です。つくば再生の里は、研究所敷地内の入口正面の芝生地であった平坦地に整備され、2018 年 11月に第一期工区が竣工(面積約 200 ㎡(うち池の面積約 35㎡))し、2021年度に隣接地にさらに拡張(拡張後約 500㎡(うち池の面積約 75 ㎡))されました。
 当緑地の設計の特徴は、つくば市周辺地域の水田や樹林地などから事業者・設計者・施工者が協働し採取・調達した、地域に由来するシラカシやコナラ等の 189種の地域性種苗のみで構成されたビオトープであることです。
 地域性種苗を用いることにより、地域の生物多様性の保全に寄与し、この地域の景観を形成することを目指しました。また、植物材料の中でも地域に限られた希少性がある地域性種苗を用いた緑化により、空間の独自性の確保と高付加価値化を図りました。
 これらの植栽した高木、中木、低木、地被植物、水生植物を合わせた 268 個体の地域性種苗はトレーサビリティ認定を取得しています。植物個体の一部には、樹種名や識別記号、採取地を記載した独自の種名プレートを用いて、調達した植物が管理されています。
 ここはまた、植栽した植物の育成状況と生態系の状況を把握・評価するため、事業実施前から定期的な動植物モニタリング調査を実施し、生態系の推移の把握・評価と維持管理状況と関連付けたデータ蓄積を行っています。さらに竣工後は、非意図的に侵入したヒメジョオン等の侵略的外来種の選択的除草と除草量の把握を継続し、生態系の適切な管理に役立てています。
 これまでの調査、設計、管理等の取り組みを通じた結果、つくば再生の里を中心として SEGES(シージェス・社会環境貢献緑地評価システム)および自然共生サイトの認定サイトとなり、企業緑地の価値の向上に貢献することができました。
つくば再生の里の画像
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